台湾たいわん海峡かいきょうの「中間ちゅうかん線せん」は中台ちゅうたいの偶発ぐうはつ的てきな衝突しょうとつを避さけるための境界きょうかい線せんとして、双方そうほうの暗黙あんもくの了解りょうかいがあるとされてきました。

しかし、関係かんけい者しゃによりますと、中国ちゅうごく海うみ警局きょくの船ふねは去年きょねん4月つき以降いこう、この「中間ちゅうかん線せん」付近ふきんをAIS＝船舶せんぱく自動じどう識別しきべつ装置そうちを作動さどうさせてみずからの位置いち情報じょうほうを発信はっしんしながら繰り返くりかえし航行こうこうしているということです。

中なかには沖縄おきなわ県けんの尖閣せんかく諸島しょとうの周辺しゅうへん海域かいいきで航行こうこうが確認かくにんされている従来じゅうらいよりも大おおきい76ミリ砲ほうを搭載とうさいしているとみられる船ふねも活動かつどうしているということです。

NHKがAISのデータを分析ぶんせきしたところ、去年きょねん4月つきからことし2月つきにかけて合あわせて9隻せきが中国ちゅうごく沿岸えんがん部ぶのアモイなどを出港しゅっこうし、「中間ちゅうかん線せん」付近ふきんを2週間しゅうかん程度ていど、航行こうこうする様子ようすが確認かくにんされました。

関係かんけい者しゃによりますと、これらの船ふねは海底かいていの砂すなを違法いほうに採取さいしゅする自国じこくの船ふねの取締とりしまりに当あたっている可能かのう性せいがあるということです。

「中間ちゅうかん線せん」付近ふきんを自由じゆうに航行こうこうすることを誇示こじし、取締とりしまりを通をつうじて自国じこくの海域かいいきとして、存在そんざい感かんを高たかめるねらいがあるとみられます。

台湾たいわん海峡かいきょうをめぐっては、おととし、2022年ねん以降いこう、中国ちゅうごく軍ぐんの戦闘せんとう機きなどがたびたび「中間ちゅうかん線せん」を越こえて飛行ひこうしているほか、中国ちゅうごくは2月つきから、民間みんかん機きの航路こうろの一ひとつをこれまでよりも「中間ちゅうかん線せん」に接近せっきんさせた台湾たいわん寄よりの航路こうろに変更へんこうして運用うんようを始はじめています。

台湾たいわん側がわは、今回こんかいの海うみ警局きょくの船ふねの動うごきも「中間ちゅうかん線せん」を形骸けいがい化かさせようとする、中国ちゅうごく側がわの台湾たいわん海峡かいきょうにおける現状げんじょう変更へんこうの試こころみとみて警戒けいかいしています。

専門せんもん家か「中国ちゅうごく側がわのすべての行動こうどうに注視ちゅうし」

台湾たいわんの海洋かいよう政策せいさくに詳くわしい、中華ちゅうか海うみ巡じゅん協会きょうかいの葉は雲くも虎とら 秘書ひしょ長ちょうは「中国ちゅうごく海うみ警局きょくの船ふねは、かつては近ちかづくことがなかった『中間ちゅうかん線せん』付近ふきんを意図いと的てきに航行こうこうしている。AISも作動さどうさせているのは中国ちゅうごくの認知にんち戦せんの一環いっかんだ。中国ちゅうごく政府せいふは中間ちゅうかん線せんを認みとめることを拒否きょひしており、現状げんじょう変更へんこうがなされつつある。中国ちゅうごく側がわのすべての行動こうどうに注視ちゅうししていかなくてならない」と話はなしています。